2012年7月18日水曜日
2012年7月18日水曜日
ちょうど発売日だったので,フェリス女学院の講義の帰りにさっそく横浜の新星堂で買ってきました(昨年の夏頃からiTunesで音楽を購入するのにすっかり慣れてしまって,この前レコード店に入ったのが何時だったのかさえ記憶にないくらいですが,Johnny WinterのRootsや,Neil YoungのAmericanaのようにダウンロード販売されていないアルバムもいくつか並んでいて,昔渋谷や六本木の大型レコード店であれこれ手に取りながら,棚をゆっくり観て歩いているだけで幸せだった頃をちょっと思い出したりしていました。)。
2008年の竹内まりやさんのベストアルバムExpressionsのライナーの中で山下達郎さんは,「ポップ・カルチャーの本質は、つまるところ『生きることの肯定』だと思います。」と一言で核心を射ていますが,まったく同じことがこの桑田さんのベストアルバムについてもあてはまりますね。Expressionsはデビュー30周年記念でしたが,こちらはソロ活動25周年を記念するアルバムで,一番古い一曲目の「悲しい気持ち 」が1987年,ずっと聴き続けてきたアーティストなので,どの曲にもときどきの思い出が蘇ってきます。桑田さんはサザンでデビューした頃,言葉につきまとう意味に反抗して,言葉の音の響きに重点をおいた作詞をし,「ただの歌詞じゃねえか、こんなもん」なんて表題の本を出したりしていましたけれど,月日を重ね,歌詞の有り様も大きく変遷していますね。「明日晴れるかな…」《明日晴れるかな》(2007年),「現在がどんなにやるせなくても,明日は今日より素晴しい」《月光の聖者達》(2011年),「子供らが笑う時/新しい朝が来る」《明日へのマーチ》(2011年),「もうすぐ夜が明ける」《愛しい人へ捧ぐ歌》(2012年),最近の楽曲ではひとつのことを繰り返し歌っているように感じられます。桑田佳祐作詞ではないけれど,「ちびまる子ちゃん」の エンディングテーマ,さくらももこ作詞の「100万年の幸せ!!」にもポピュラー音楽にしか表現することのできない生きることを肯定する音が響いています。
近頃フェリスや横国の授業その他の機会に家族や社会の問題について人前で話す機会がたびたびあるので,いつも何かネタ探しをしているようなところがあるのですが,ごく最近平成19年版の男女共同参画白書をみていて,余白のコラムに心が釘付けになってしまいました(白書28頁以下の部分です。他にも興味深いデータが満載ですし,レイアウトも綺麗なので,よろしければぜひリング先の原典をご覧下さい。)。30頁に,パリとストックホルムと東京の3都市について,一週間に家族全員で夕食をとった回数の調査結果が載っています。このような事柄について公式の調査があるということ自体ですでに心の琴線に触れるところがありますが,特に驚いたのはパリです。調査対象となった35歳から45歳までのカップルのうち46.2%の人が週に7回家族全員で夕食のテーブルを囲んでいるというのです。つまり,パリではほぼ半数の家族が毎日家族で夕食を共にしているのです。これに対して,東京の家族で一番多い回答は27.7%の週2回です(週末ということでしょうか。)。これには参りました。もちろん,原因ははっきりしているのです。お父さんの帰宅時間です。29頁に東京のお父さんの帰宅時間が載っていますが,一番多い時間帯は23時台の16%です(ついで,21時台の15.6%,22時台の14.5%と続きます。 0時台も6.3%もありますね。)。これでは家族が揃って夕食をとることなど到底無理です。同じ頁には,ソウルや北京,上海,台北といった何かしら忙しそうな印象のあるアジアの都市の調査も載っていますが,ソウルですら一番多い時間帯は20時台の19.4%ですし,北京など18時台には29.5%の父親が帰宅しているのです。そして,西欧の都市と比較した28頁はもっと刺激的です。たとえば,ストックホルムでは,16時頃までに15.2%,17時頃までには52.5%,つまり,過半数の父親がすでに帰宅しているのです。
振り返えれば日本(ふるさと)が見える 新しい夜明けは何処
せめて百万年ほどは幸せでいようよ 再びこの地球(ほし)で oh皆が出会えるように(ウパウパ…)
現在感じるは愛しさが宇宙(そら)にいっぱい 雲の流れ星の瞬き見上げてごらん
たった百万年ほどの幸せを掴もう 輝く地球(ほし)に oh愛を刻みこもうよ(カクカクシカジカ…)
百万年ほどは幸せになろうよ 再びこの地球(ほし)が笑顔で溢れるように
夢のかけらを集めて旅に出ようか 果てなき道虹の彼方へ歩いて行こう
It’s all right
2012年(平成24年)7月18日 水曜日
追記
その後このブログを一旦書いた後に「10万年の安全は守れるか」と題された10月1日放送のNHKクローズアップ現代を観ました。人が近づけば20秒で死に至る程の未処理の高レベルの放射性廃棄物が天然に存在するレベルまで自然に低減するのに10万年かかることを初めて知りました。
2012年(平成24年)10月8日 月曜日