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2011年6月8日水曜日
明日に架ける橋(40周年記念盤)/Simon and Garfunkel
有名盤のスペシャルエディションが次々出てきます。これも経済原則だと思うと少し寂しい気もしますが,収められた音の記憶は色褪せることがないですね。
「明日に架ける橋」を買ったのは,高校生の頃で,当時はまだレコードを10枚くらいしか持っていなかったと思います(たしか当時のぼくのお小遣いは月に5,000円で,LPレコードは2,500円でした。30年以上も前の話ですから,現在のCDの値段は,物価の優等生ですね。)。Like a bridge over troubled water / I will ease your mind という「明日に架ける橋」の歌詞は,それだけで,多感な高校生を感動させるのに充分ですが,この40周年記念盤についている1969年のライブアルバムを聴くと,最初にこの曲に出会ったときの感動が蘇るような錯覚に陥ります。
この「Live 1969」に収められたライブ演奏会の時点では,まだ「明日に架ける橋」のアルバムの制作中で,観客は,生まれて初めて「明日に架ける橋」という曲を聴いたために,ラリー・ネクテルの弾くあの有名なピアノのイントロが入ってきても,会場は静まりかえったままです。曲名だけ告げられ新曲だと紹介されたその美しい曲にただ固唾をのんで聴き入っています。このとき 会場に一体何人位の人がいたのか分かりませんが,まさに水を打ったように静まりかえり, すべての観客がまるで真剣勝負を挑む武道家のように,1つの音も聞き逃すまいと集中している様子が手に取るように伝わってきます。そして,3番の歌詞をアーティが歌いきり,ハル・ブレインのドラムが入ってくると堪えきれず感動が鳴り止まぬ拍手となって自然に沸き上がってきます。
そこには,何か宗教的な,といって悪ければ,精神的な体験のようなものがはっきりと記録されていて,昨今のコンサートとは,名前は同じでも,中身はまったく違う儀式が行われています。月日が流れ,レコードの価値も変わり,日常のぼくらの音楽との接し方も変わってきましたが,こんなレコード(記録)を聴くと,音楽に感動する気持ちには,変わりがないと思い出させてくれるように思いますし,あの日感動していた高校生と弁護士を仕事にしている今の自分は,無関係ではないようにも思えてきます。
Bridge Over Troubled Water P. Simon, 1969
When you're weary, feeling small
When tears are in your eyes, I will dry them all
I'm on your side, when times get rough
And friends just can't be found.
Like a bridge over troubled water
I will lay me down
2011年(平成23年)6月8日 水曜日